先日、基礎的医薬品の投稿をしたときにこんなスライドを作りました。
このスライドに対し、フォロワーさんからこんな質問がありました。
この質問に回答していきます!
結論
《処方箋記載》
チラーヂンS錠
⇩
《調剤する医薬品》
レボチロキシンナトリウム錠「サンド」
この変更調剤ができないと判断した理由は
厚生労働省が出している「基礎的リスト」に載っていないからです。
厚生労働省のホームページ(ここ)の下の方に「基礎的リスト」という項目があります。
この「基礎的リスト」には通常はできない基礎的医薬品の変更調剤のうち、特例的に変更調剤ができるものが掲載されています。
ここで言う「特例的に変更調剤できるもの」とは、
ざっくりいうと
基礎的医薬品に指定される前に、後発医薬品として変更調剤できていたもの(元後発品)です。
例えばリンデロンVG軟膏(元先発品)を変更調剤するとき
上記の4つの医薬品は元後発品であり、このリストに載っているので変更調剤が可能です。
《処方箋記載》
リンデロンVG軟膏(元先発)
⇩
《調剤する医薬品》
デルモゾールG軟膏/ルリクールVG軟膏/デキサンVG軟膏/ベトノバールG軟膏(元後発)
一方でこのリストには「レボチロキシンナトリウム錠『サンド』」の記載がありません。
よってチラーヂンS錠⇨レボチロキシンナトリウム錠「サンド」の変更調剤ができないと判断しました。
なぜレボチロキシンナトリウム錠「サンド」は基礎的リストに載っていないのか
※ここからは推測です。間違ってたらすみません。
結論:理由は2つあります。
❶ 令和6年4月現在、レボチロキシンナトリウム錠「サンド」が基礎的医薬品ではないから
❷ チラーヂンSとレボチロキシンナトリウム錠「サンド」はもともと先発・後発の関係にないから
基礎的医薬品の制度がスタートした平成28年まで話は遡ります。(僕はまだ薬剤師なってない)
チラーヂンが基礎的医薬品に指定される前(2018年3月まで)の薬価基準収載品目のリストを見てみます。
ご覧のように、どこにも「チラーヂンS錠」や「レボチロキシンナトリウム錠『サンド』」の記載はありません。
レボチロキシンナトリウム錠という表現の中に「チラーヂンS錠」も「レボチロキシンナトリウム錠『サンド』」も含まれています。
(これを「統一名収載」と言いますが、詳細は割愛)
よくみると、「レボチロキシンナトリウム錠」の前に「局」という記載があります。
これは局方品であることを表しています。
局方品には2種類あります。
❶ 先発・後発の区別があるもの
❷ 先発・後発の区別がないもの
(こちらの投稿で解説済み)
厚生労働省の薬価基準収載品目リストをチェックすると、「先発品」や「後発品」の記載がないため、レボチロキシンナトリウム錠は❷であることが推測されます。
つまり、基礎的医薬品に指定される以前から、「チラーヂンS錠」と「レボチロキシンナトリウム錠『サンド』」は診療報酬上の先発・後発の関係になかったと言えます。
そのためリンデロンVGとデキサンVGのように「元先発」「元後発」の関係性がなく、厚生労働省の出している「基礎的リスト」にも掲載されていないと考えられます。
まとめ
私がチラーヂンS錠⇔レボチロキシンナトリウム錠「サンド」で変更調剤が認められていないと考えた理由は
ポイント
◆ 厚生労働省の出している「基礎的リスト」に両薬剤とも記載がないため
◆ チラーヂンが基礎的医薬品に指定される前から、先発・後発の区別がなされていなかったため
上記の2点になります。
個人的な推測なので間違っていたらご指摘ください🙇🏻
それにしてもいい質問の仕方…✨
・自分は「何者」で
・一度「自分で」調べていて
・分からなかったことを「具体的に」書いている
絶対仕事できる人🥹
私も回答しやすかったので、こういった資料でまとめてみました!
調剤報酬ややこしいですよね。勉強がんばりましょう!